公益財団法人 新潟県保健衛生センター

結果の見方と活用

健康診断結果の見方

こちらでは、項目ごとの基準値と判定についてご紹介いたします。健康診断は受診したら終わりではなく、健康診断の結果から日々の食事や運動、睡眠といった生活習慣を関連付けていただき、ご自身の体と向き合う健康づくりに活用していただくことをお勧めします。

※ご加入されている健保組合により基準値は若干異なる場合がございます。

当財団で受診された方の結果票の見方はこちらをご覧ください。(一般健康診断と人間ドックそれぞれございます)

身体計測

項目 生活改善 基準値/異常なし
体格指数(BMI) 18.4以下(低体重) 18.5~24.9
25.0以上(肥満)
腹囲(男性)(cm) 85以上 85未満
腹囲(女性)(cm) 90以上 90未満

BMI値は体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で算出します。肥満の程度を表す体格指数で、22位が最も病気にかかりにくいとされています。

感覚器

項目 基準値/異常なし 要再検査/生活改善 要医療
視力 1.0以上 0.9以下
眼圧 19.9以下 20.0~100
聴力 1000Hz(dB) 30以下 35 40以上
聴力 4000Hz(dB) 30以下 35 40以上

加齢や騒音による聴力低下は、一般に人の会話域をはずれた高音域から始まり、当初は気が付かないことが多く、気が付いたときにはかなり進行し、しかも治りにくいという特徴があります。異常値がみられた場合には、必要により耳鼻科で詳しく調べてもらってください。

循環器

項目 基準値/異常なし 心配なし 要再検査/生活改善 要医療
収縮期血圧(最高血圧)(mmHg) 129以下 130~139 140~159 160以上
拡張期血圧(最低血圧) 84以下 85~89 90~99 100以上
眼底(Scheie分類) 0 1 2 3、4
心電図検査 所見なし
HDLコレステロール(mg/dL) 40以上 35~39 34以下
LDLコレステロール(mg/dL) 60~119 120~139 140~179 59以下、180以上
中性脂肪(mg/dL) 30~149 150~299 300~499 29以下、500以上
Non-HDLコレステロール(mg/dL) 90~149 89以下、150~169 170~209 210以上

眼底検査は眼底の動静脈の変化から、全身の動脈硬化や高血圧による血管の変化などをみることができます。

HDLコレステロールは善玉コレステロールと呼ばれ体に溜まっている余分なコレステロールを回収するはたらきがあります。一方、LDLコレステロールは悪玉コレステロールと呼ばれ、多すぎると血管壁に蓄積して血管を硬くし、動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や脳梗塞を起こす危険性を高めます。
健診でコレステロールの関係値を測る目的は動脈硬化による脳卒中や心筋梗塞を予防する目的です。また、LDLコレステロール値は中性脂肪400mg/dL以上となると計算値が不正確となるため、その場合にはnon-HDLコレステロールが管理目標に用いられます。

肝機能

項目 基準値/異常なし 心配なし 要再検査/生活改善 要医療
総タンパク(g/dL) 6.5~7.9 8.0~8.3 6.2~6.4 6.1以下、8.4以上
アルブミン(g/dL) 3.9以上 3.7~3.8 3.6以下
AST(GOT)(U/L) 30以下 31~35 36~50 51以上
ALT(GPT)(U/L) 30以下 31~40 41~50 51以上
r-GT(r-GTP)(U/L) 50以下 51~80 81~100 101以上

ASTは多くの臓器、とくに心臓、肝臓、筋肉、腎臓などの細胞に含まれている酵素です。これらの臓器が障害され細胞が破壊されるとASTは血液に放出され、血清中の値が高くなります。数値が高い場合は、肝障害、心筋梗塞、心筋症、骨格筋および甲状腺機能亢進症などが疑われます。

ALTはASTとほぼ同じですが心臓にはあまり含まれていません。ASTに比べてALTの上昇が大きい場合は急性肝炎、慢性肝炎、脂肪肝、肝臓がん、アルコール性肝炎などが疑われます。ASTのみが高い場合は心筋梗塞、筋肉疾患などが考えられます。

r-GTは肝臓などの細胞の膜にある酵素で、アルコールや種々の肝臓や胆管の病気で合成が高くなり血液に放出され血清中の値が高くなります。数値が高い場合は、アルコール性肝障害、慢性肝炎、胆汁うっ滞、薬剤性肝障害などが疑われます。

尿・腎機能

項目 基準値/異常なし 心配なし 要再検査/生活改善 要医療
クレアチニン(mg/dL)男性 1.00以下 1.01~1.09 1.10~1.29 1.30以上
クレアチニン(mg/dL)女性 0.70以下 0.71~0.79 0.80~0.99 1.00以上
尿素窒素 8.0~22.0 7.9以下、22.1~24.9 25.0~29.9 30.0以上
eGFR(mL/分/1.73m²による) 60.0以上 45.0~59.9 44.9以下
尿酸(UA)(mg/dL) 2.1~7.0 7.1~7.9 2.0以下、8.0~8.9 9.0以上
尿蛋白 (-) (±) (+) (2+以上)
尿蛋白(+)かつ尿潜血(+)

腎臓は、血液から老廃物をこしとって血液を浄化し、こしとった老廃物を尿として体外へ排出させる働きがあります。尿素は蛋白が体の中で分解された時にできる物質の一つで、窒素を含んでおり、すべて腎臓から排出されます。腎臓になんらかの障害が起こり腎臓の機能が代償されなくなると血液中の尿素窒素の値が高くなります。クレアチニン(Cr)は腎臓の機能が低下していると排泄されず血液中に溜まってしまい数値が高くなります。eGFRは糸球体1分間あたりのろ過能力を示し、腎臓の機能が低下していると数値が低くなります。

尿酸は、肝臓で生成される代謝物の一つで、数値が高い場合は、高尿酸血症といいます。高い状態が続くと、関節に沈着して炎症を起こし、痛風発作がみられ、腎臓に徐々に沈着して腎障害を起こします。また、尿路結石も作られやすくなります。

糖代謝

項目 基準値/異常なし 心配なし 要再検査/生活改善 要医療
空腹時血糖(FBS)(mg/dL) 51~99 100~109 0~50、110~125 126以上
空腹時血糖(FBS)HbA1c FBS:51~99かつ
HbA1c:~5.5
FBS: 100~109かつ
HbA1c~5.9
FBS:110~125かつ
HbA1c~6.4
又はHba1c:6.0~6.4はOGTTを推奨
FBS:126~
又は
HbA1c:6.5~
FBS:51~99かつ
HbA1c:5.6~5.9
FBS:0~50
随時血糖(PBS)(mg/dL) 51~139 0~50、140~199 200以上
随時血糖(PBS)HbA1c PBS:51~139かつ
HbA1c:~5.5
PBS:51~139かつ
HbA1c:5.6~5.9
PBS:140~199
又はHba1c:6.0~6.4はOGTTを推奨
PBS:200~
又はHbA1c:6.5~
FBS:0~50
HbA1c(%) 5.5以下 5.6~5.9 6.0~6.4 6.5以上

HbA1c(ヘモグロビン・エーワン・シー)は、過去1~2ヶ月の血糖の平均的な状態を反映しており、血糖がうまくコントロールされているかが分かります。

血液(一般)

項目 基準値/異常なし 心配なし 要再検査/生活改善 要医療
血色素量(Hb)男性(g/dL) 13.1~16.3 16.4~18.0 12.1~13.0 12.0以下、18.1以上
血色素量(Hb)女性(g/dL) 12.1~14.5 14.6~16.0 11.1~12.0 11.0以下、16.1以上
ヘマトクリット(HCT)男性(%) 38.5~48.9 49.0~50.9 35.4~38.4 35.3以下、51.0以上
ヘマトクリット(HCT)女性(%) 35.5~43.9 44.0~47.9 32.4~35.4 32.3以下、48.0以上
赤血球数(RBC)男性(×10⁴μL) 400~539 540~599 360~399 359以下、600以上
赤血球数(RBC)女性(×10⁴μL) 360~489 490~549 330~359 329以下、550以上
MCV(平均赤血球容積)(fL) 78.0~101.9 70.0~77.9、102.0~110.0 69.9以下、110.1以上
MCH(平均赤血球色素量)(pg) 28.0~34.9 27.9以下、35.0以上
MCHC(平均赤血球色素濃度)(%) 31.0~34.9 30.9以下、35.0~36.9 37.0以上
白血球数(WBC)(×10³μL) 3.1~8.4 8.5~8.9 9.0~9.9 3.0以下、10.0以上
血小板数(PLT)(×10⁴μL) 14.5~32.9 12.3~14.4、33.0~39.9 10.0~12.2 9.9以下、40.0以上

血色素量とは赤血球に含まれるヘモグロビンの量のことです。ヘモグロビンは酸素を運搬する働きをしており、数値が低い場合には、貧血などが考えられます。また、ヘマトクリットは血液全体に占める赤血球の割合で、数値が低い場合は貧血などが疑われ、高ければ多血症、脱水などが考えられます。

白血球数は赤血球数、血色素量とはちがい基準値に男女差はありません。白血球は細菌などから体を守る働きをしています。数値が高い場合は細菌感染症にかかっているか、炎症、腫瘍の存在が疑われますが、どこの部位で発生しているかはわかりません。またたばこを吸っている人は高値となります。少ない場合は、免疫力が低下している場合がありますので、感染症、薬の副作用、貧血などがないかを調べます。

血液(感染症)

項目 基準範囲 心配なし 要注意 異常
CRP(mg/dL) 0.30以下 0.31~0.99 1.00以上
梅毒反応 (-) (+)
HBs抗原 (-) (+)
HCV抗体 (-) (+)

CRPは細菌・ウィルスに感染する、がんなどにより組織の傷害がおきる、免疫反応障害などで炎症が発生したときなどに血液中に増加する急性反応物質です。細菌・ウィルス感染、炎症、がんはないかを調べます。

梅毒反応は結核、膠原病など梅毒以外でも陽性になることがあります。陽性の場合は区別するために精密検査を受けてください。

HBs抗原はB型肝炎ウィルスに感染していないか、HCV抗体はC型肝炎ウィルスに感染していないかを調べます。陽性の場合は肝炎ウィルスが体内にいることを意味します。

便

項目 異常なし 要医療
便潜血(2回法) (-) 1回でも(+)

食道から肛門までの間の出血の有無を調べます。早期の大腸がんで50%、進行がんで80~93で陽性となりますが、1回の検査では陰性のことがありますので、通常2回法(2日間の便を調べる)が用いられています。陽性の場合の多くは、大腸ポリープ、大腸がん、潰瘍性大腸炎、痔などが疑われます。結果が陽性の場合には何らかの病気があると考え、精密検査を受けましょう。

当財団で人間ドックを受診された方

人間ドック結果のお知らせ 見方とポイント

① 7段階で判定されます

総合判定と各検査項目の判定はA~Eの7段階で示されます。C6~Dと判定された検査は記載された事後指示に従ってください。

② 総合所見は必ず確認しましよう

総合所見は医師がすべてのデータと経過をみて総合的に判断しており、最も重要な項目です。
総合判定と共に、異常所見があった検査項目について医師からの指導が記載されています。再検査、精密検査、受診の指示がある場合は早めに医療機関を受診してください。

③ 経年変化を確認しましよう

今回の検査結果の他に過去2回分の記録が記載されています。(過去に当財団で受診された方)

健康は日々の積み重ねです。総コレステロールや、中性脂肪、血糖値など食生活や運動など生活習慣で変動する検査項目が、前回よりも数値が改善されているか確認していただき、生活習慣を見直す指標にしてください。

④ 保健スタッフからの生活習慣に関するアドバイスが記載されています

日々の食生活や運動習慣といった生活習慣は、健康に結びついています。
こちらでは、食生活、塩分、間食、アルコール、飲酒、運動について、保健指導スタッフからのアドバイスが記載されています。

食生活欄には厚生労働省と農林水産省で作成された「食事バランスガイド」で示されているコマが描かれています。コマのバランスはとれていますか?コマが傾いている場合は記載内容を参考にしていただき、健康的な食習慣を目指しましょう。

判定区分

A:異常なし 今回の検査の範囲では異常を認めませんでした。
B:心配なし わずかに基準範囲をはずれていますが、日常生活に差し支えありません。
C:要生活改善・要経過観察 生活改善または経過観察が必要です。
C6:6カ月後再検査 6か月後に再検査を受けてください。
C3:3カ月後再検査 3か月後に再検査を受けてください。
D:要医療 医療機関での精密検査、医師による治療が必要です。
E:治療中 現在、病院に通院して治療中、あるいは具合の悪いときに病院・医院で診てもらっている疾病に関する項目です。結果は必ず主治医にお見いただき、医師の指示に従い治療を継続してください。

当財団で一般健診を受診された方

健康診断結果票 見方とポイント

① 7段階で判定されます

総合判定と各検査項目の判定はA~Eの7段階で示されます。C6~Dと判定された検査は記載された事後指示に従ってください。

② 総合所見は必ず確認しましよう

総合所見は医師がすべてのデータと経過をみて総合的に判断した内容が記載されており、結果票で最も重要な項目です。異常所見があった検査に対して医師からの指導内容が記載されています。再検査、精密検査、治療の指示がある場合は、そのままにせず医療機関を早めに受診してください。

③ 生活習慣のアドバイスを記載しています

生活習慣は健康診断結果と深く関わっています。生活習慣の改善点や日常生活における注意点が記載されていますので、内容を参考にしていただき、ライフスタイルを見直して健康保持・増進に役立てましょう。

④ 経年変化を確認しましょう

今回の検査結果の他に過去2回分の記録が記載されています。健康は日々の積み重ねです。

総コレステロールや、中性脂肪、血糖値など食生活や運動など生活習慣で変動する検査数値が、前回よりも改善されているか確認し、生活習慣を見直す指標にしてください。

⑤ メタボリックシンドロームとは

メタボリックシンドロームとは内臓脂肪の蓄積に加え、脂質異常、高血糖、高血圧のうち2つ以上を合併し、心臓病や脳卒中などを起こすリスクが高い状態を示します。

メタボリックシンドロームは生活習慣が大きく影響しています。言い換えれば、生活習慣の見直しで予防が可能ということです。健康診断でご自身の健康状態を知り、病気の早期発見や今後の生活指針にお役立てください。