公益財団法人 新潟県保健衛生センター

赤ちゃんや子供たちの健康を守る

新潟県で生まれたすべての赤ちゃんが受ける先天性代謝異常検査の分析、県内の小・中・高校の1年生を対象とした心臓検診、小中高の全学年対象の尿検査(蛋白・糖その他)による小児腎疾患・小児糖尿病などの早期発見を行い、新潟の子どもたちの健やかな成長を支えています。

県内唯一の機関として赤ちゃんの先天性代謝異常を検査

新潟県では、県内で生まれたすべての赤ちゃんを対象に新生児マススクリーニングを実施しています。身体の発育や働きを調整するホルモンが生まれつきない、もしくは少ない場合は、そのままにしておくと知能や発達に障害を引き起こすことがあります。そこで、生まれて間もない赤ちゃんから少量の血液を採取して検査することにより、先天性の病気を早期に発見し、発症を防ぐことが目的です。現在はタンデムマス法によるアミノ酸、有機酸、脂肪酸の代謝異常症17種類と、先天性甲状腺機能低下症など3種類を含む20種類の先天性の病気を対象に、新潟県で唯一の検査機関として検査を行っています。

こうした先天性の代謝異常による病気は、早い時期から特殊ミルクを使用するなど必要な治療をすることで発症を予防できるため、検査で異常が疑われた場合は、新潟大学医歯学総合病院小児科で精密検査を行い、早期治療につなげています。

小・中・高校での心臓検診を担う

昭和54年度(1979)に、学校保健安全法に基づく心臓検診が小・中・高校に通う1年生を対象として行うことが決まりました。検診の目的は、心疾患の発見や早期診断をすること、心疾患をもつ児童生徒に適切な治療を受けさせるように指示すること、心疾患児に日常生活の適切な指導を行い児童生徒の QOL を高め、生涯を通じてできるだけ健康な生活を送ることができるように援助すること、さらに、心臓突然死を予防することなどです。私たちは、学校心臓検診のパイオニアとして新潟市をはじめとする市町村で学校心臓検診を担ってきました。

この検診は心電図による検査と定められているので、適切に心電図を記録できる臨床検査技師と判読に精通した医師の存在が不可欠です。私たちは技師の能力向上への取り組みや地域医師会との協力により、精度の高い検査を行い、児童・生徒の健康を守っています。

子どもたちの健康に貢献するやりがい

代謝異常検査担当:
私たちは新潟県内唯一の検査機関なので、県内の病院や産科クリニックから毎日、赤ちゃんの血液検体が送られてきます。現在は3人の検査技師がタンデムマス法などによって20疾患の有無を調べています。異常の検知は3,000人に1人の割合で、その場合はすぐに新潟大学での精密検査につなぎます。この検査によって、症状が出る前に治療ができるので発症を抑えられること、ひいては、原因不明で亡くなる子どもたちがいなくなること―――それが検査の目的であり、私たちのやりがいにもなっています。

心臓検診担当:
心疾患に気付かないでいると突然死など重篤な結果につながることもあるので、学校心臓検診で私たちが担う使命は重大です。臨床検査技師、看護師、検診車の運転員などがチームを組み、各学校に赴いて心電図検査を行いますが、緊張してじっとしていられない児童や怖がる生徒に臨機応変に対応しながら検査を進めていきます。精度と対応力の両立は大変ではありますが、子どもたちに元気に学校生活を送ってほしいという思いで頑張っています。