母子保健
元気いっぱいに生まれてきた赤ちゃんにも、生まれつきの病気が隠れていることがあります。その病気を検査するのが先天性代謝異常検査です。
新潟県では、県内で生まれた赤ちゃん全員を対象に公費の検査を実施しています。新潟県保健衛生センターは県内唯一の検査機関として、専門医と協力体制をとりながら、年間に約14,000件(令和3年度実績)の検査を実施しています。
代謝とは
食べ物は体の中で消化・吸収され臓器などをつくる成分になり、またエネルギーとして使われることにより、不要なものは排出されます。体の中でおこるこのような変化を代謝と呼びます。
代謝異常ってどんな病気?
代謝をスムーズに行うためには多くの酵素が必要です。たとえば、フェニルケトン尿症は代謝に必要な酵素がひとつ欠けていることにより、神経系の発達を阻害して徐々に知能障害を引き起こします。
代謝異常症と診断されたら?
体の発育や働きを調整するホルモンが生まれつきない、もしくは少ない場合は、そのままにしておくと知能や発達の障害になることがあります。しかし、新生児期に異常を発見して、治療用ミルクを飲ませるなどの適切な治療を続ければ、健康な生活を送ることができます。
先天性代謝異常検査の歴史
新潟県保健衛生センターでは、新潟県、新潟市、新潟大学医歯学総合病院小児科の専門医の協力を得て、昭和52年から県内唯一の検査機関として先天性代謝異常検査を行っています。
昭和57年からは先天性甲状腺機能低下症、平成元年からは先天性副腎過形成症の内分泌疾患が加わり、6疾患の検査を行ってきました。平成25年からは更に多くの病気を一度に検査できるタンデムマス法を導入し、現在では20疾患の検査を行っています。また、令和3年2月からは新潟県内の母子保健関係者の協力のもとに一般社団法人 新潟小児希少疾患協会による希少疾患に対する付加新生児スクリーニング検査が有料で開始され、当センターでは付加検査の事務処理を担当しています。
検査方法
赤ちゃんの足の裏からごく少量の血液を採取し、検査用の濾紙に染み込ませます。濾紙に染み込んだ血液を使って検査をします。
検査でわかる病気
早く見つけて治療することでよくなる病気、必要な治療と管理を続けていくことで正常に発育する病気を見つけます。以下の20疾患の検査が可能です。
代謝異常疾患
アミノ酸の代謝異常 |
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有機酸の代謝異常 |
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脂肪酸の代謝異常 |
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糖質の代謝異常 |
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内分泌疾患
- 先天性甲状腺機能低下症
- 先天性副腎過形成症
希少疾患に対する付加新生児スクリーニング検査とは?
現在、赤ちゃん全員に行われている先天性代謝異常検査だけでは調べられない病気があります。それらの希少疾患に対して追加で行う検査が付加新生児スクリーニング検査です。
別途検査料金がかかりますが、新たに血液の検体を提出する必要はなく、通常の先天性代謝異常検査で使用した検体で検査が可能です。
対象疾患は以下の5つです。
- ライソゾーム病(ポンペ病、ファブリー病、ムコ多糖症Ⅰ型、ムコ多糖症Ⅱ型)
- 重症複合免疫不全症
詳しくは新潟小児希少疾患協会のホームページ、またはかかりつけの産婦人科の医師にお尋ねください。
お問い合わせ
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