公益財団法人 新潟県保健衛生センター

働く検診車(2)蓄電池を使用した胸部検診車

働く検診車

このコラムでは、当財団の検診車“はたらく車”たちをご紹介します。
第2回は、環境にやさしい『蓄電池を使用した胸部X線検診車』です。

他の検診車と何が違うの?

 お近くで検診車が停まっているのを見たことがありますか?検診車は、駐車できるスペースがあれば手軽にレントゲン等の検査を受けていただくことが可能なため、会社や地域のコミュニティセンターなどで健康診断を行っている時に見かけることがあると思います。
 検診を行うためには検診車内にあるレントゲン撮影装置や車内のエアコンなど様々な部分で電力を使っています。ほとんどの検診車が電力を供給するためにガソリンや軽油をエネルギー源とした発動発電機を使用しています。発動発電機は場所を選ばずに大きな電力を供給できますが、排気ガスや騒音などの問題がありました。皆様も検診を受けている時にちょっとうるさいし、排気ガス臭いなあと感じることがあったのではないでしょうか。

新潟県内初の蓄電池式検診車

 排気ガスや騒音などの問題を解決すべく、当財団では2020年に新潟県で初めての蓄電池式システムを用いた胸部検診車を整備しました。
 蓄電池は国産のハイブリット車両でも使用されているニッケル水素蓄電池を搭載しており、安全性が高いものを採用しています。蓄電池式システムは、蓄電池に貯めた電気をエネルギー源としてインバータで電力を供給します。100Vの電源で約12時間充電すると、1日の検診に使用する電力を貯めることができます。毎日、検診が終了すると当財団へ戻り、夜間に充電をして翌日の検診に備えています。
 検診中は前日に充電をした蓄電池からの供給だけで、撮影装置や照明、エアコンなどを動かすことができるため、発動発電機や車両のエンジンを稼働することはありません。そのため、排気ガスを出すこともなく、稼働のための騒音や振動もありません。
 受診される皆様、検診車を駐車する近隣にお住まいの皆様にもクリーンで静かな検診を実現することができます。

環境には良いけれど…

 環境にはいいところだらけの検診車ですが、5年ごとに蓄電池を入れ替えなければいけないなど蓄電池を維持していくための費用がかかります。また、夏の暑い時期の検診ではエアコンの効きが悪く少々暑いなど、少しデメリットもあります。残念ながら当財団が所有するすべての検診車が蓄電池式システムを採用しているわけではありません。
 

 

 皆様の近くにも検診車でお伺いすることがあると思います。『eco clean』 マークの付いた検診車を見かけたら、これがあのコラムの蓄電池式検診車だなと思って見てみてください。蓄電池式検診車で受診する際には、クリーンで静かな検診を体験してみてください。

 

この記事を書いた人

放射線技師

M.S