公益財団法人 新潟県保健衛生センター

働く検診車(3)胸部検診車

働く検診車

胸部X線検診とは…

胸部X線検査は胸部にX線を照射して写真を撮影し、肺や心臓に異常がないか調べる検査です。

この胸部X線検査を用いた検診は、戦後、蔓延を続ける結核に対し、有効な手段とされ、昭和26年に施行された結核予防法の3本柱の一つとして始まりました。その後、結核は色々な対策が功を奏し、急速に減少しました。その後、胸部X線検査は、増加し続ける肺がんの早期発見にも一役買い、現在に至っています。

手軽に受診できる胸部検診車

通常、検査ではX線を発生させるため、設備や放射線が漏れないように遮蔽された部屋が必要となり、病院など施設の一室で行われる検査です。胸部検診車はその胸部X線装置や撮影室を車両に搭載して病院や健診施設に出向かなくとも、手軽に胸部X線検査ができる車両です。
「病院に行かなくても、検診で自宅の近くでレントゲン写真が撮れる。」それが検診車です。

昔の検診車の記録

当財団は結核予防会の新潟県支部として、これまで何台もの検診車を使用してきました。最も古い検診車の記録は昭和32年に贈与された検診車の命名の記録でした。

当時はとても貴重な検診車。名前の候補が134も挙がり選考に苦慮していたようです。当時の最新の装置や設備が装備され、書かれた文面からも検診車に対する期待が伝わってきます。

また、昭和60年に使用していた胸部検診車の図面がありました。現在の図面と比べると時代の変化を改めて実感しました。一番の相違は室内の広さです。車体自体の構造の進化もありますが、撮影装置がコンパクト化され、装置の占める割合が減り、室内を広く使えるようになりました。昭和当時の車内は着替えるスペースが狭く、更衣室とは言い難い場所であり、個人のプライバシーの配慮など難しい状態でした。

 

現在の検診車

現在の検診車内は十分とは言えませんがゆとりがあり、カーテンを用いることによって個別の更衣スペースが確保できるようになっています。更に近年では、検診車の出入口を少しでも乗り降りしやすいよう、階段の段差や段数を出来る限り少なくし、室内の段差をできるだけなくし、手すりを多用するなど、安全面に重点を置いた設計を心がけています。開始当初は撮影することに重きを置かれていたため、現在に比べると乗り降りや移動しにくい環境にあったと思われます。

また、空調設備も整い、ある程度の暑さ、寒さに対応できるようになっています。検診開始当初は冷房があっても性能は今ほど良くなく、検診を受ける方も検診をする職員も皆さん汗だくになっていたそうです。今は夏場の検診に受診される方が「検診車の中は涼しい。」とおっしゃって入ってくるのをよく耳にします。

撮影装置の進化により、画像の質の向上はもちろんですが、検診車を更新する際は受診される方が、より安全に、より快適に検診を受けることができるよう、架装業者と綿密に話し合いながら図面を考えています。

今後の発展

今後も色々な発展により、さらに良い環境の中で検診が受けやすくなっていくことと思われます。20年後、30年後に現在の図面を見てどう感じるのか。精一杯のことをやっていたんだなと思ってもらえるように改良を重ねていきたいと思います。

 

 

 

この記事を書いた人

保健部 部長

M.S