子宮頸がんによる死亡をなくしましょう!
子宮頸がんとは
子宮頸がんは、発がん性をもったヒトパピローマウイルスが子宮入口の子宮頸部に感染することによって起こります。感染すると、細胞の顔つきが変わる「異形成」という細胞の病気が発生しますが、多くの場合、免疫機能によりウイルスが排除され異形成は治ります。しかし、ウイルスの発がん性が強いとウイルス感染が持続し、軽度異形成→中等度異形成→高度異形成、さらに上皮内癌となることがあります。発がんまでに、数年を要します。異形成や上皮内癌は細胞の病気であり、おりものや出血など症状はなく、がん検診を受けていないと発見されません。発生したがん細胞が増殖し、目で見える形の浸潤癌となってはじめて、出血などの症状が現れます。日本では毎年、約10, 000人の人が子宮頸がんに罹患しています。以前は発症のピークが40~50歳代でしたが、最近は20~30歳代の若い女性に増えてきており、30歳代後半がピークとなっています。
子宮頸がん予防ワクチン
ヒトパピローマウイルス感染を予防し、子宮頸がん発生を防ぐワクチンが開発され、世界70ヵ国以上で国のプログラムとして接種が実施されています。わが国では、小学校6年から高校1年の女子を対象に定期接種が行われており、9種類のウイルス感染を予防する9価ワクチン接種により、約90%の子宮頸がんが予防できます。
子宮頸がん検診
子宮頸部をブラシで擦り、採取した細胞を顕微鏡で観察します。通常、検診は2~3分ほどで終了します。20歳を過ぎたら2年に1回の受診が勧められています。細胞診によるがん検診は精度が高く、病変が発生した場合、上皮内癌や前癌病変である異形成で発見できます。
軽度~中等度異形成と診断された場合、自然治癒が期待されますので、経過観察します。高度異形成~上皮内癌に対しては手術が選択されます。上皮内癌ではがん細胞が発生した上皮内に留まっており、転移することはありません。従って、病変の存在する子宮頸部を一部切除する子宮頸部円錐切除術などが実施されます。短時間で手術は終了し、術後疼痛はほとんどありません。また、子宮を残すことができますので、病気を治したのち、妊娠・分娩が可能です。
子宮頸がんによる死亡をなくしましょう!
日本では、毎年約3000人が子宮頸がんで死亡しています。定期的に子宮頸がん検診を受けていれば、助かった命です。子宮頸がん予防ワクチン接種と子宮頸がん検診受診により、子宮頸がんで死亡する人をなくしましょう。残念ながら、9価ワクチン接種でも子宮頸がんを100%予防することはできません。しかし、子宮頸がん検診を定期的に受けていれば、細胞レベルの病変で発見することができ、大きな苦痛なく病気を完治することができます。多くは前癌病変で発見され切除されますので、近い将来、進行した子宮頸がんはなくなるであろうと考えられています。子宮頸がんがなくなる日が、一日も早く訪れることを期待しています。